2017/09/27
よく、「日本のオーラルケアは遅れている」、「日本人の虫歯の予防意識は低い」と言われることがあります。
確かに、日本国内でのデンタルフロスの普及は遅く、使い勝手のいいフロスピックから普及が始まり、近年ようやく巻き型のデンタルフロスも認知されるようになってきたというレベルです。
オーラルケアへの意識が比較的高いと言われているのは、欧米の人たちです。特にスウェーデンの人たちが、オーラルケアへの意識が高いと言われています。
“日本と欧米の間で、オーラルケアに対する意識に結構な差があるのはどうしてなのか?”と調べてみたところ、ちょっと意外な理由が見つかりました。
それは、日本と欧米の保険制度の違いです。
日本人は悪くなってから歯医者へいく、欧米の人は悪くなる前に歯医者へいく
まず結論を述べますと、「日本人は悪くなってから歯医者へ行き、欧米の人は悪くなる前に歯医者へ行く」という傾向があるようです。
確かに日本では歯医者に限らず、人間ドッグ・健康診断以外で、病院へ行こうという意識がそこまでありません。(もちろん、一概には言えません)
そこには、日本の皆保険制度が充実しているところが関係しているとも、考えられます。
日本は皆保険制度が充実していて、歯が痛くなってから治療してもお金がかからない
日本では1961年に全国の市町村で国民健康保険の事業が始まりました。「皆保険制度」とは、その名の通り、”すべての国民が支え合って、お互いの医療費を負担しよう”という制度です。
今ではすっかり当たり前のように、この皆保険制度の恩恵を受けていますが、世界レベルで見るとここまで高いレベルの医療制度はなかなか無いことなのです。
この皆保険制度のおかげで、日本人は体調が悪くなった時に、誰でも・いつでも・どこでも、病院に行きやすくなりました。
2017年現在、公的医療保険に加入している限り、医療費の自己負担は3割で済むので、仮に歯が痛くなってから歯医者さんへ治療しにいっても、金銭的な負担はそこまでかからないのです。
治療費の負担が軽いため、「歯が痛くなってから、治療しにいく」という意識が、根付いているとも考えられます。
一定額を超えると自己負担になる国や民間保険が主流な国がある欧米は、予防への意識が高い
さて、一方海外(特に、オーラルケアの意識が高いと言われている欧米)の保険制度はどうなっているのでしょうか? もちろん、それぞれの国によって、保険制度の内容は大きく違います。
例えば、イギリスは国営医療保険が主流です。医療費の自己負担は0円ですが、登録医あるいは登録医からの紹介でしか、保険が適用されません。「どこでも」安く治療を受けられるわけではないのです。
さらにアメリカでは、公的な医療保険ではなく、民間の保険に加入することが主流です。多くの人は民間医療保険に加入していますが、未加入で全額負担になってしまう人もいます。自己負担の割合も、加入している保険によって一定ではないようです。
つまり、一概に言える部分ではありませんが、自己負担額が民間保険の違いにより多かったり、どこの病院でも安く治療を受けられるとは限らなかったりするので、日本と比べると「悪くなってから治療に行く」ことへのハードルが高いと考えられるのです。
そのため、「悪くならないように(治療が必要ないように)、予防をする」ということへの意識が高まっていると考えられるのです。
欧米のコンビニやドラッグストアでは、日本ではあまり見かけない歯の治療グッズ「自分で作るマウスピース」や「銀歯が取れた時に自分で詰める詰め物」などが売られていて、推奨するわけではありませんが”自分で何とかする”という思いもあると考えられます。
日本の保険制度が評価されているのは確かだが、オーラルケアはしっかり行うべき
以上、海外でオーラルケアが進んでいる理由の1つとして考えられる、保険制度の違いについてのお話でした。
たしかに、日本の皆保険制度が充実していることは事実ですが、「歯が悪くなってから歯医者へ行く」のではなく、「歯が悪くならないように歯医者へ行く(定期検診)」、「歯が悪くならないように自宅でのオーラルケアをしっかり行う」ということについては、意識して損なことではありません。
国や医療保険の制度に関係なく、世界中の人が虫歯や歯周病にならないことが、ベストなのではないでしょうか?
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