2021/04/23
オーラルケアにおいて、歯や歯茎のケアと同様にしっかり取り組みたいのが、舌苔(ぜったい)のケア。
舌苔ケアには、“舌が白く汚く見えることを改善する”、“口臭を改善する”、さらには“舌苔で繁殖した細菌が身体のなかへ入り込むことで起こるその他の疾患(肺炎やインフルエンザなど)のリスクを抑える”という、多くのメリットがあります。
とはいえ、消費者層を調べていると舌苔ケアの知名度自体は高いとはいえ、正しい方法で舌苔ケアをできている人は少ないという現実に直面します……。
そこで今回は、オーラルケアで欠かせない舌苔ケアの基本~応用まで徹底的に解説!
「舌苔が取れないんだよな……」「そもそもどう除去するんだろう?」とお悩みの方に、役立ちます。
まずは基本をおさえよう!舌苔ケアの方法
まずは、舌苔ケアの基本についてお伝えしましょう。
毎日のオーラルケアの流れにおいて、舌苔ケアは次のように組み込みます。
- 歯ブラシをする
- 舌苔ケアをする ←ココ!
- デンタルフロスをする
- マウスウォッシュをする
- フッ素コートをする
歯ブラシのあとに舌苔ケアがくるので、歯磨きからそのまま舌まで磨いてしまう人も多いですが、これは厳密にはNG。
これについて詳しくは、後ほど『舌苔ケアの注意点』の項目でお伝えしましょう。
舌クリーナーなどを使って舌苔ケアをする時のコツ
舌ブラシや舌クリーナーなどを使用するにあたり、歯ブラシで歯を磨く時のように上下にゴシゴシと舌を磨く人がいますが、これはあまりよくありません。
舌苔ケアは基本、舌の奥から手前に向かって動かす(要は一方通行で磨く)ことが、舌に優しく舌苔除去の効率もいいとされています。
また、舌苔を何としても取ろうと、舌ブラシや舌クリーナーに力を入れ過ぎると、舌の表面を傷めたり、ブラシやクリーナーで無理にこすった跡が溝のように残ったりしてしまいます。
歯ブラシで歯を磨くときと同様、力は入れ過ぎず、ソフトに磨くことが肝心です。
【関連記事】
⇒ 毎日の歯磨きに役立ちます!効果的な歯の磨き方
舌クリーナーなどを使って舌苔ケアをする時の注意点
まず気をつけたいのは、舌苔ケアの頻度です。
舌は歯と比べると柔らかく、傷つきやすい部分と言えます。そのため、歯ブラシやデンタルフロスのように、1日3回も舌苔ケアに励む必要はありません。
ベストは1日1回だけ、口臭をスッキリさせておきたい朝に舌苔ケアをオーラルケアの流れに組み込むことです。
また、先述したように最初の歯磨きで使った歯ブラシで、そのまま舌まで磨いてしまうことはNGです。
舌の表面の凹凸と歯ブラシの毛の太さはマッチせず、歯ブラシでは舌苔を取りにくいです。
それでも何とか舌苔をそぎ取ろうと、舌にとっては硬くて太い歯ブラシの毛を無理に押し付ければ、舌を傷めてしまいます。
舌苔ケアをする時は、歯ブラシで代用するのではなく、舌クリーナーや舌用ブラシをきちんと別に用意して使うことが望ましいのです。
舌苔ケアに役立つ!おすすめのグッズ3選
舌苔ケアには、役立つアイテムが様々あります。
以下、おすすめできるグッズを3つピックアップしてみます。
- 舌磨き用ブラシ
- 舌クリーナー
- 舌用クリーニングジェル
【1】舌磨き用のブラシ (ハビナース「舌ブラシ」など)
先述したように、歯を磨く用のブラシと舌を磨く用のブラシは、別に用意してください。
舌磨き用のブラシの毛は、歯ブラシの毛と比べて3分の2~半分ほどの細さ。
舌磨き用ブラシの細くて短い毛で、舌に溜まった汚れをかき出します。
【商品例】
⇒ ハビナース 舌ブラシ グリーン
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【2】舌クリーナー (ののじ「舌も!」など)
見た目が似ているので、先述の舌磨き用ブラシと混同されることも多いですが、今記事ではあえてクリーナーを区別してみました。
ひと口に舌クリーナーといっても、その種類には様々あります。
- ヘラタイプ
- 不織布タイプ
- 金属タイプ ……etc.
どれがよくてどれが悪いということはあまりないので、いろいろと買ってみて、1番自分の使い心地がいい素材の舌クリーナーをリピートするといいと思います。
【商品例】
⇒ ののじ ソフト舌クリーナー 「舌も!」
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【3】舌用クリーニングジェル (NONIO「舌専用クリーニングジェル」など)
舌ブラシ・舌クリーナーと併せて使い、効果を発揮するのが舌用のクリーニングジェルです。
ジェルは舌の汚れを浮かせ、ブラシやクリーナーで汚れを落としやすくする効果があります。
【商品例】
⇒ NONIO 「舌クリーナー」+「舌専用クリーニングジェル」
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舌苔ケアについてよくある悩み&回答
『Yahoo!知恵袋』などの“Q&Aサイト”では、舌苔ケアに関する悩みが数多く投稿されています。
それらを参考によくある悩みをピックアップ、それぞれの悩み・疑問にオーラルケア用品を作っている当社『株式会社オカムラ』の観点からお答えしてみました。
- 他の人よりも舌苔が多いし、すぐ溜まる!歯磨きはしているのにどうして?
- すぐに舌苔を取りたいけど、何とかならない?
【悩み1】他の人よりも舌苔が多いし、すぐ溜まる!歯磨きはしているのにどうして?
【回答】口呼吸や早食い、タバコなどの習慣を見直そう!
舌苔の溜まりやすさには、個人差があります。その人の体質であったり、遺伝的に舌苔の溜まりやすさを受け継いでいるということも、あったりするようです。
こうした理由による舌苔の多さを改善することはなかなか難しいですが、それ以外の、自身の習慣的な理由で舌苔が多くなっているのならば、改善の余地があります。
舌苔を溜まりにくくするために有効な方法の1つが、口呼吸をやめること。
舌苔は、口腔内の水分が乾くと溜まりやすくなります。口呼吸は、口腔内の水分を減らす大きな原因の1つです。
例えば、「鼻炎で鼻が詰まるために口呼吸になりがち……」という人は、まずは鼻炎の治療をすることで、結果的にドライマウスや舌苔の予防に繋がる可能性が十分にあるでしょう。
同じく、ドライマウスの原因となりやすい早食い(よく噛まず、唾液が分泌されないため)や、タバコも控えたほうが、舌苔ケアには貢献できます。
【関連記事】
⇒ どうしてタバコは歯や口腔内に悪影響を及ぼすのでしょう?
【悩み2】すぐに舌苔を取りたいけど、何とかならない?
【回答】蓄積された舌苔を1回で取り切ることはおそらく無理……1~2週間は根気よくケアを続けよう!
「すぐに舌苔を取りたい!」「この1回で全部舌苔をなくしたい!」と思っている人も、結構いらっしゃいます。
……が、仮に数年間にわたって蓄積してきた舌苔の場合、その付着具合は想像以上に頑固で、1回のケアで除去しきることはおそらく不可能です。
1回で舌苔を除去しようと、長時間磨いたり強い力で磨いたりすることは、舌にダメージを与えてしまいます。炎症を起こしてしまう可能性だって、否定できません。
「即除去!」は残念ですが諦め、コツコツとケアしていくことをオススメします。
個人差はありますが、ここまで述べてきた正しい方法・適したグッズで舌苔ケアを行えば、1~2週間で変化が見られることでしょう。
介護・看護の現場の舌苔ケアの重要性、そして課題点
ここまでは、「自分で舌苔ケアをしたい」という観点でお話をしてきました。
しかし実際は、「他人に舌苔ケアをしてあげたい」という要望も、負けず劣らず多くあります。
介護や看護の現場では特に、適切な舌苔ケアは被介護者(患者)の健康を左右することもある、重要なことなのです。
- 舌苔ケアにより口臭を緩和させ、人とのコミュニケーションを気兼ねなく行ってもらう
- 味覚を改善し、食事をすすんでとってもらう
- 舌苔で繁殖した細菌が原因の病気を防ぐ ……etc.
上記に挙げたほんの一例だけでも、介護・看護の現場における舌苔ケアの重要性がよく理解できます。
日本が“超高齢化社会”にある今、高齢者や口をうまくあけられない患者に適した、舌苔ケアアイテムのさらなる展開が望まれるでしょう。
舌苔ケアを嫌がる被介護者(患者)のためにできる工夫
被介護者(患者)のなかには、オーラルケア、特に舌苔ケアを嫌がる人が多くいると言われています。
その理由は様々だと思いますが、1つ大きいのは舌クリーナー・舌ブラシ等の異物感でしょう。
口腔内にいきなり“異素材”のモノが入ることに、警戒心や不安、不快感を感じてしまいます。
その対策として、舌クリーナーを使用するより先に、「これからオーラルケアが始まる」という心の準備をしてもらうのを兼ねて、歯茎をやさしくマッサージしてあげる方法があります。
口腔内のマッサージで唾液の分泌が促されることで、舌苔が溜まるのを抑えたり、歯の再石灰化を促進して虫歯になりにくくする効果も得られます。
【関連記事】
⇒ 高齢者の口腔ケアの重要性と介護の大変さ
まとめ
以上、ぜひともマスターしたい舌苔ケアの基本について、まるっとお伝えしました!
舌苔の見た目や舌苔が原因の口臭のせいで、「人からどう思われているんだろう……」と悩んでいる人は多いです。決して、自分1人ではありません!
すぐには取れないほど頑固に蓄積した舌苔であっても、コツコツをケアを続けることでちゃんと改善されます。
まずは、この記事で取り上げたような舌磨き専用のアイテムを用意して、1日1回の舌磨きを習慣づけましょう。
また、舌苔は口腔内に歯垢が残っていると溜まりやすいです。
自分に合った歯ブラシ・デンタルフロス・マウスウォッシュを併用して、新たな舌苔ができにくい口腔環境を目指していきたいですね!