2020/02/07
最近、「脱プラ」や「サステイナブル」という言葉をよく耳にするようになりました。
私たちの日々の暮らしの中で大量に廃棄され、大気や海洋を汚染する原因の1つともなっている「プラスチック素材」からの脱却を目指す動きが、急速に拡がっているのです。
さて、高まる環境保全の意識は、歯ブラシの選び方にも大きく関わり始め、近年は“エコな歯ブラシ”が注目されています。
今回は、大量廃棄されたプラスチック製の歯ブラシによって起こる環境問題と、それをキッカケに生まれたエコな歯ブラシの数々について解説しました。
1年間で36億本ものプラスチック歯ブラシが廃棄されている
オーラルケア先進国スウェーデンのオーラルケア用品メーカー、『ザ・ハンブル・カンパニー』によれば、1年間に世界で廃棄されるプラスチック製歯ブラシの量は、おおよそ36億本。
そのうち、約4.5億本が日本のプラスチック製歯ブラシの廃棄量(世界の廃棄量の10分の1弱)といわれており、欧米諸国などと比較した、日本のエコ意識の及ばなさが如実にあらわれています。
プラスチックのもととなる石油が限られた貴重な資源であるため、プラスチックを大量消費・大量廃棄する日本に対する海外からの目は厳しいです……。
そこで他国よりかなり遅れは取りましたが、日本でもサスティナブルなライフスタイルへの転換が推奨されるようになりました。
【参考ページ】
⇒ ザ・ハンブル・カンパニー『私たちの物語』
歯ブラシなどプラスチックの大量廃棄が引き起こす、2つの環境問題とは?
「ところで、歯ブラシを始めとするプラスチック製品の大量廃棄が何故いけないの?」と、疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。
1つは、地球温暖化をすすませる原因の一端となっていること。
そしてもう1つ、さらに深刻なものとして取り沙汰されているのが、廃プラスチックによる海洋汚染問題です。
【1】プラスチックが燃える時に出る二酸化炭素が地球温暖化を進めてしまう
プラスチックは現状「燃やすゴミ」に分類されることが多いですが、紙や木、布など他の素材と比べると燃やしにくい素材。
“焼却処分した”といえる段階になるまでには、多くの二酸化炭素が排出されてしまいます。二酸化炭素は、言うまでもなく地球温暖化の原因です。
【2】分解しきれなかったプラスチックが海洋を汚染してしまう
プラスチックは他の天然素材のように、自然の力で分解されることがありません。川べりなど、どこかでポイ捨てされたプラスチックは、小さく砕けながら海に流れていきます。
海に流れてしまった小さなプラスチックをマイクロプラスチックと呼び、深刻な海洋汚染問題として多くの国で取り上げられています。
マイクロプラスチックは、その名の通り非常に細かなプラスチックなので、1度海へ流れ込んでしまったら回収は不可能。
なくなることなく海に漂い続けるマイクロプラスチックを、海で生きる魚介類が体に取り込み、そしてその魚介類を食べる人間もまた、マイクロプラスチックを体に取り込むことになります。
特に日本近海は、マイクロプラスチックの密度が世界的にみてもかなり高いことが分かっているのです。
【参考ページ】
⇒ 大学生とつくる就活応援ニュースゼミ1から分かる!プラスチックごみ問題(1)
プラスチック問題から生まれた3種類のエコな歯ブラシ
環境問題、特にプラスチックごみ問題に手を打つため、“エコな歯ブラシを選ぶこと”に先駆けて注目したのは、やはりオーラルケアの先進国であるスウェーデンなど。
やや遅れはしたものの、日本でも「エコな歯ブラシを選ぼう」という意識が広がりつつあり、下記3種類のエコな歯ブラシが、主に注目されています。
- バイオプラスチック歯ブラシ
- 天然素材の歯ブラシ
- ヘッド“だけ”交換できる歯ブラシ
【1】バイオプラスチック歯ブラシ
プラスチックはプラスチックでも、トウモロコシやサトウキビなどの生物資源(バイオマス)をもとに作られる、環境にやさしいプラスチック製歯ブラシが、バイオプラスチック歯ブラシです。
通常のプラスチックは、マイクロプラスチックの項で述べたように、自然に還らない素材です。
しかしバイオプラスチックは生分解性を有し、微生物により水と二酸化炭素に分解され、やがて新しい生物資源に循環していきます。
また、バイオプラスチックの歯ブラシを焼却処分する場合も、通常のプラスチックよりも焼却熱が低く済み、有害物質(ダイオキシンなど)も出ないことから、地球温暖化抑制の面で優れていると言われています。
【2】天然素材の歯ブラシ
プラスチック素材ではなく、一部またはすべてを天然素材でつくった歯ブラシも、近年とても人気が高いです。
天然素材の歯ブラシは、焼却処分時に温室効果ガスが発生しにくく、また仮にそのまま海へ投げ捨てられたとしても、微生物の力ですっかり分解されることがメリット。
ブラシ部分が豚毛・馬毛・山羊毛であったり、持ち手が木製(ブナ・黒檀など)や竹製であったり、天然素材の歯ブラシとひと口にいっても、そのバリエーションは豊富ですが、特に注目度が高いものが竹製の歯ブラシです。
【関連コラム】
【3】ヘッド“だけ”交換できる歯ブラシ
「単純にゴミになるプラスチックの量を減らす」という観点から生まれたエコな歯ブラシが、ヘッド“だけ”交換するタイプの歯ブラシです。
「歯ブラシの毛は1ヶ月でダメになってしまうけど、ハンドルのほうはまだまだ使えるはず。なのに丸ごと捨てるのはもったいないのでは?」という、合理的な考えから商品化されました。
天然素材の歯ブラシだと違和感がある人や、プラスチックならではの機能的な持ち手を好む人でも、ヘッド“だけ”交換できる歯ブラシを使えば、十分環境保全に役立てるのです。
【まとめ】地球温暖化と海洋汚染に待ったをかける、そんなエコ歯ブラシのさらなる普及に期待
以上、大量消費・大量廃棄が前提の歯ブラシにまつわるプラスチックごみ問題の現状、それを憂えて生まれたエコな歯ブラシの数々についてまとめました。
エコな歯ブラシの誕生に限らず、某ハイブランドがレザー(動物の皮)アイテムの展開を辞めたり、カフェでプラスチックのストローが紙のストローに替わったりと、様々な企業で脱プラへの取り組みが活発化しています。
また個人でも、サステイナブル(「持続可能な~」という意味)なライフスタイルへの転換を掲げている人が、増えてきました。
インスタグラムなどで、“エコな歯ブラシ”への注目度が上がっていることにも頷けます。
もちろん、歯ブラシを含むあらゆる日用品から、今すぐにプラスチックを完全撤廃することはできません。
それでも、今高まっているエコ意識を一過性(一時のブーム)に終わらせず、恒久的な維持が目指されていくなら、そう遠くない未来に「歯ブラシはプラスチックでできている」という常識が変わるのかもしれませんね。
さて、当社『オカムラ』もエコな歯ブラシの制作に関するご相談(OEM)依頼をいただく機会が増えています。
「オリジナルでエコなオーラルケア用品を作りたい」とお考えの方は、ぜひ1度『オカムラ』までお気軽にお問い合わせくださいませ!
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